自宅で多肉植物の組織培養!ヴィトロプランツさんのVipキット使ってみたよ!

タニラーの皆さんこんにちは!

今回はマニアックな事やりますよ〜

植物の組織培養。聞いたことありますでしょうか?

寒天で出来た培地に無菌状態で植物を置き、植物を育てる方法です。

無菌で育てることができる為、多肉植物で言えばジュレるという現象が無くなります。

なぜタニラーの僕がこの難しさそうな組織培養をするの?と聞かれれば

まぁ、なんかかっこいいし、面白そうだから。

なんですけども笑

実は交配して作った種をこの組織培養のやり方で育てれば通常より早く育成できるかもしれないなど

メリットはあるかもしれないんですね。

(Youtubeにレジェンドと組んで実験している動画はあるのですが、どうなったのか結果がわかりませんでした。)

もともと多肉ではなく、蘭を実生する際にはこのやり方でやるらしく、ジュエルオーキッドの生産者さんもこの組織培養で苗を増やし販売しています。

今年はエケベリアの交配をしてオリジナルの苗を作っていこう!と考えている中でこの組織培養が使えれば便利なんじゃないかとも考えているわけです。

てことで今回の記事は

ちょうどハマってるジュエルオーキッド、マコデスペトラの増殖と全斑になってしまったエケベリアも組織培養であればそだてられるのではないか!?という実験をしながら、組織培養を試しにやっていこうという企画です。

ちなみに僕は高校は偏差値40くらいの普通科、大学は面接で入りました。建築学科です。

生物も化学も専攻しておらず、なんなら勉強などしたことがありませんが

今回ご紹介するやり方については全て独学(YouTubeとかで)したものになります。

これから組織培養するぞ!という素人の方向けに素人でもこーやってできるんだと参考にしていただければと思います。

自分で調べてて知りたかった事も書きますのでたまにマニアックな話になるかもしれませんがw

プロの方は是非Twitterでここ直せなど激しい叱咤をください。笑

組織培養とは

植物組織培養とは寒天などで出来た栄養培地上に無菌条件下で植物の細胞、組織を維持・成長させること。

簡単に言うと、無菌の瓶の中で植物を育てると言うことです。

土を使わずに化学的に作られた「培地」と言われるものを使います。培地には目的の植物が必要とする栄養素や育成を助けるための植物ホルモンが入ります。

この培地に入れる栄養素をコントロールすることでその植物が必要としている栄養素を確認したり、与える栄養素の違いでどのような成長の違いが出るのかみる事ができます。

もちろん最適な栄養素で育てる事ができたのであれば、植物を最速で育成することができ、農家さん達がhappyになれるのです。

しかし、無菌条件下というものが曲者で、本来であれば学校などの施設にあるような設備を使わないと実験ができない物でした。

が!!!

次で紹介するヴィトロプランツさんより提供される製品を使うと、素人でも簡単に植物の組織培養が行えるのです。

(慣れればホームセンターに売っているような市販の物でも行うことは可能なようです。)

ヴィトロプランツの植物組織培養キット

ヴィトロプランツさんは京都大学で開発された特許をもとに家庭でも無菌の培地と植物の滅菌ができる製品を提供している会社。

企業向けの商品も多く、素人の方がサイトを見ても少しわかりづらいのですが

今回私が購入させていただいた製品はこちらです。

Vipキット 京都(ジャガイモ、BA)

こちらは蘭の播種(はしゅ)や節培養、花茎培養にも対応しているそうで、今回ジュエルオーキットを増やしたかったのでこちらを購入しました。

何となく植物の組織培養をしてみたいや、いろんな植物で試したいのであれば

ViPキット 1/2MS(BA、NAA、2-4D)

こちらが良いかもしれません。

「Vipキット京都」は皆んなよく知ってる微分ハイポネックスを基礎とした栄養培地です。植物ホルモンはBA(ベンジルアデニン)のみが付属します。

「Vipキット1/2MS」はMS培地と言われる凡庸性の高い培地である上に、植物ホルモンが3種(BA・NAA・2−4D)が付属します。

両方とも基本料金3,500円ですが、備品の付属しない方(簡素化版)を頼めば2,500円と千円引きになります。私は1000円引きの方を買いました。

送料込みです。安いですw

ちなみにのちのちこのキットを使わずに自分で培地の材料を集めて作成するという事であればMS培地は材料のハードルが高いと感じました。

ハイポネックス培地が再現性が高いです。参考までに。

Vipキット京都の内容物

普通にポストに投函されるため夏場注意

上記のサイトから購入し、週末に注文振り込みしましたが翌週水曜には届きました。

支払いは楽天pay・クレジットカード・銀行振り込み。

クレジット支払いを試みましたが、PayPalなるものを間に挟むようでよく操作がわからず断念して、銀行振り込みにしましたw

開けるとこんな感じ

何やらよくわからない薬剤が並びテンションが上がりますね。笑

培地

こちらが「培地」の元になる粉。1袋で500mlの培地が作成でき、これが4袋入っています。

ジャガイモ粉末入りが2袋、ジャガイモ無しが2袋の4袋です。

開封後に湿気るのを防ぐためにこんなクリップまで付いていました。親切すぎます。

詳しい成分表はこちら。左がジャガイモ無し右がジャガイモありです。

ハイポネックスを使った培地であることが分かります。

殺菌剤

殺菌剤は3つあります。

次亜塩素酸水を作るための次亜塩素酸カルシウム。

基本、水に溶かしてスプレーに入れて使用します。

植物を滅菌するための「sir Vip G」

成分は写真の通り。こちらを水で溶かしたものに植物を漬け込み殺菌消毒します。

3つ目が「Vip Supporter」

こちらは知識不足で詳しくはわからないのですが、先に紹介した二つを水に溶かすときに1滴2滴加えて使用します。

名前の通りサポーターなのでしょう・・・笑

植物ホルモン

植物ホルモンBA(ベンジルアデニン)はサイトカイニンの一種で発芽などを促進します。

蘭の播種(実生)用のキットですからこのホルモンが付属しているのかなと思います。

もし、オーキシンなど別の植物ホルモンが欲しい場合は同サイトで単品売りしているのでそちらを買うと良いでしょう。

植物ホルモンはAmazonやホームセンターなどでも販売されていますが、それを培地に入れても良いのかもしれませんが、植物が吸収できる状態になるのかはわかりません。

その他備品

かなり親切で、細々したものが付属します。

また、容器として推奨されるビニール袋が一緒に入っているのですが、今回私は使用しませんでした。

用意したもの

上記で紹介した「Vipキット京都」以外で私が要したものです。

ほぼ100均(ダイソー)で揃います。

100均(ダイソー)で買った物

培養容器

容器は2種類買いました。(今回は瓶だけ使用)

熱した培地を流し込みますので、耐熱性が必要です。

また、雑菌の混入を防ぐための密閉性も必要です。

プラ容器の方は2個で100円なので瓶の半額ですが透明度が少しだけ低いです!

プリンカップでもOKなようですが、今回は見た目(もちべーしょん)重視で行きます!

殺菌スプレー

こちらは次亜塩素酸タイプの殺菌スプレーです。

作業台などを滅菌して作成環境を良くするために購入しました。

Vipキットに次亜塩素酸水を作成するものが含まれるので必要ないかとも思いましたが、念入りに殺菌したかったので購入しておきました。

アルコールスプレーでも良いと思いますが、次亜塩素酸で揃えました。

空のスプレー

100均の化粧品売り場に売っています。

作成した次亜塩素酸液を入れて滅菌作業に使用します。

トレー・ピンセット・カッター

ステンレスのトレー(深型)次亜塩素酸水を入れておいてピンセット・カッターを消毒したり

切り出した植物を安置するのに使用しました。雰囲気がでてとても良いです。(重要)

ピンセットは瓶の底まで届く長めの物を用意。

カッターはデザインカッターと呼ばれる細かいものを切るのに適したカッターです。

手袋

使い捨てのゴム手袋です。

これは6枚入りでした。

青色をなんとなく選んだのですが雰囲気が出てともて良いです。(重要)

100均以外で買ったもの

IH対応でなければダイソーにもあります。

こちらイオンで安売りしていました600円の鍋です。

家の鍋でも良いかなと思ったのですが、やはりよくわからん薬品を扱いますし

きっと嫁に怒られるので、お小遣いで買っておきました。

縁に口があり、鍋から直接瓶へ培地を入れることができます。これがないとワンクッション入れることになり雑菌が侵入する隙が増えてしまうかなと思い口付きのもにしました。

タイペストシール

こちらは容器の蓋につくる空気穴用のシールです。タイペスト紙と言われる不織布のような素材の紙で雑菌を通しません。

YouTubeなどで植物の組織培養を検索すると高確率でこの空気穴を作っていたので必要だろう!と見様見真似しています。

Amazonで20枚450円ほどでした。

以上で用意したものの紹介は終わりです。長くなってしまった・・・

ついでに、衣装ケースなんか買っておくと収納に便利です。

次亜塩素酸水を作る

ここから実際にVipキット京都を使用して組織培養をやっていく手順を実際にやってみての反省なども含めながらご紹介します。

素人なりに工夫しながらやってみたので、参考にしてみてください。

最初に様々な滅菌に使う次亜塩素酸の塩素液を作成します。

30分ほどかかるうえに、しょっちゅう使用するので一番初めに作成して下さい。

こちらの次亜塩素酸カルシウムを3粒使います。

300mlの水道水に次亜塩素酸カルシウムを3粒入れ、粒が自然に崩壊するまで30分待ちます。

急ぐときは棒か何かで粒を潰して壊しても良いそうですw

基本塩素なので光で分解されてしまうそうで、太陽光などは当てないように暗い場所で保管して下さい。

粒が崩壊したらよく混ぜて用意したスプレーに入れ滅菌に使用します。

無菌状態を作る上で、かなり重要なものになりますので濃度や光に気をつけて下さい。

培地を作る

次に植物の栄養素となる培地を作成していきます。

ここからの作業はホコリや風避けに特製の段ボールハウスの中で行います。

上部には天窓を作り明るさを確保。

キッチンは100均で買ってきた消毒スプレーで滅菌済み

部屋中がプールの匂いで包まれます。完璧です。

マスクと手袋も装着して下さい。

鍋に500mlの水を入れていきます。

沸騰してきたら

培地の元となる「eVip培地」を1袋を入れます。

今回はジャガイモ粉末入りの方を使用してみます。栄養がありそうですね。よくわかりませんが。

ざざーっと。

ちなみにこれを入れた後お鍋を放置すると吹きこぼれる事が培地作成経験者ではあるあるらしいのでお気をつけ下さい。

火は少し弱めておくと良いでしょうw

ジャガイモが入れてすぐ混ぜないと固まって沈澱し、最悪焦げるので培地の元をいれたらすぐに混ぜて下さい!

次に「Vip Supporter」を1滴垂らします。1滴です!

そして植物ホルモンを加えます。

こちらは0.05mg、0.2mg、1mgの3種類あるのでお好みの量加えて下さい。

私は何もわからないので0.2mgを一つとりあえず入れておきました←

Vipキットに付属していたスプーンで混ぜ合わせましたが

こーなりました。

付属のスプーンは耐熱性がありませんのでご注意ください。

結局ヘラを使って混ぜます。

ジャガイモが固まってしまって、それを溶かすのに一苦労しました。

完全にジャガイモが溶け込み、良い具合にグツグツしています。

今回、鍋から直接瓶へ培地を注ぎ入れたかったので

先に塩素液を100ml入れて印をつけておきましおた。瓶の消毒もついでにやります。

5瓶あるので100mlずつ分注していきます。

入れ終わったら、蓋を作成しておいた次亜塩素酸液で消毒して密閉します。

この蓋がレンジアップできるのであれば電子レンジで再加熱して追い込みをかけても良いかもしれません。

分注作業が手間取ってしまい、培地の温度が低い状態で菌の混入が疑われる場合も再加熱して殺菌する必要があります。

この再加熱などをしたくなかったので、鍋から直接分注する方法を採用しました。

常温で冷やして固まれば培地の作成は完了です。

一応滅菌されているはずですので、培地自体に消費期限は無いはずですが、いつまでも保存が効きますとは書かれていませんでした。

中の成分が変異する可能性もあるのでしょうね。ただ2−4週は持つようです。

種などの採取に目処が立っている場合、培地を先に作り置きしておけば、この時点でのコンタミネーション(雑菌などが入り込む事)の有無を確認できて良いかもしれません。

植物を消毒する

組織培養に使う植物の滅菌作業をしていきます。

2種類の液に漬け込み殺菌します。

トレーに次亜塩素酸水をいれてカッターとピンセットを消毒します。

それっぽいのでテンションが上がります。

今回はこのお化けになってしまったティテュバンス錦の葉挿しっ子と

ヤフオクで買っておいたジュエルオーキッドのマコデスペトラさんを使います。

葉挿しっ子は親葉から外して水道水で入念に洗いました。

マコデスペトラは節の部分に根と芽になる細胞を持っているので、写真の赤線で切り分けました。

根っこが出てきている部分があったのでそこを残すようにしています。

頭の部分は今回しようせず普通に水苔に戻します。

一応トップジンMペーストで保護しておきました。

草の用意ができたら消毒液を作成です。

「sir Vip G」と名のついた茶色い粉を使用します。

この粉を付属のスプーン1杯(約1g)に水道水10mlを加え混ぜます。

湿気ないようにこちらにもクリップが付属している親切設計。

次に「Vip Supporter」を2滴加え混ぜます。

液ができたら草を放り込むだけです。

姫秀麗錦のお化けを見つけたのでこれもメンバーに加えます。

念のため蓋をして、説明書の推奨時間である4時間漬け込みます。

この4時間という記載のあった説明書をよくよくみてみると結構大きい植物の話のようで

今回かなり小さい物でしたのでもっと短時間でないといけなかったかもしれません。

ー4時間後ー

次に最初に作成した次亜塩素酸水に漬け込みます。

スプレーに入れていた液をそのままビーカーに移して使用しました。

同じように蓋をして推奨時間である1時間を漬け込みましたが

これも先ほどと同様、植物の大きさの割に長時間漬け込み過ぎだったと思います。

植物を置床する

時間が経ったら植物を培地に置床していきます。

次亜塩素酸水ごとトレーに出してしまいます。

意味があるのかわかりませんが直前に「sir Vip G」液につけてから培地の上に

(一応説明書通りに)

見事に見切れていますが、瓶は斜めに持って上から降ってくるであろう埃が入りづらくすると良いらしいです。

最後に次亜塩素酸液をスプレー、蓋もスプレーして密閉します。

5つ分設置しました。

後は日の当たらない室内に保管して成長を待つのみです。

まとめ

以上で組織培養のやり方は終わりです。

初めての事だったので、消毒をやりすぎてしまったかな・・という懸念はありますが

作成してから5日たった今現在培地にカビが増殖したりなどコンタミしている様子はありません。

ただお化けちゃんたちが色素が薄くなる現象が見受けられており、こちらは消毒が原因ではなく

水の吸いすぎかな?と推察しているのですが、phの調整が必要だったかもしれません。

この後植物の成長は追記していこうと考えております。3月ごろには結果も出てきていると思います。またみにきて下さいw

また、次はエケベリアの種蒔きでこの組織培養を使ってみようと思っています。それはまた別の記事で紹介いたしますね。

とても長くなりました。最後までご覧いただきありがとうございます。

気になるな、やってみようかなという方はぜひヴィトロプランツさんのVipキットお試しくださいw

Vipキット 京都(ジャガイモ、BA)

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